1. 9.11同時多発テロ後の回復で注目されたNLPの力
今回は、**NLP(神経言語プログラミング)**の技術の中でも、特に貢献が大きい「恐怖症状への対応」についてご紹介します。
アメリカ・ニューヨーク州にフランク・バーク博士という心理療法家がいらっしゃいます。バーク博士は1970年代にNLPを学び、長年にわたりメンタルヘルスの分野で活躍してきました。
そして2001年、9.11同時多発テロが起こります。世界貿易センタービルでの爆破テロは、当時現場にいた人々だけでなく、世界中の人々に大きな心理的ショックを与えました。
このような出来事は、**心の傷(トラウマ)**として長く残ることがあります。たとえば──
- ふいに当時の記憶がよみがえる
- 強い恐怖や不安に襲われる
- 緊張がとれず眠れない
- 感情が不安定になる
- 似た場面や場所を無意識に避けてしまう
バーク博士は、事件後1年で800人以上の生存者のリハビリを担当し、NLPを活用したセッションで、短期間で高い改善効果を示しました。
この実績をもとに、博士はNLPリサーチ&リコグニション・プロジェクトという研究団体を立ち上げ、NLPによるトラウマケアの科学的研究と普及に尽力。ニューヨーク州からは30万ドルの助成金も支給されています。
2. 私たちが抱える日常の「恐怖」とは
もちろん、9.11のような過酷な体験がなくても、**私たちは日々さまざまな「恐怖」**を感じながら暮らしています。
- クモ、蛇、犬、鳩などの生き物が怖い
- 飛行機や高所が怖い
- 特定の人物が怖い
- 電車、雪道、テレビ、自動販売機が怖い…という方もいました
このような恐怖は、ご本人がそれを苦痛ととらえていなかったり、生活に大きな支障がなければ問題ありません。しかし、苦痛が大きかったり、仕事や人間関係、行動範囲に影響を与えたりする場合は、改善が必要になることもあります。
たとえば、飛行機恐怖症の方が出張を命じられたとしたら?
外回りの営業職の方が、訪問先に行く途中で出会う鳩に強い恐怖を感じていたら?
こうした現実的な支障を考えると、恐怖症はカウンセリングニーズの高いテーマでもあります。
クモ、飛行機、高速道路、テレビ、雪、電車、高所、特定の人、自動販売機──
など、条件づけられた様々な恐怖を、NLPを通じて和らげるお手伝いをしてきました。
「怖さから解放された」「世界の見え方が変わった」「こんなに晴れ晴れとした気持ちになったのは何年振りか」と言っていただけたとき、NLPの研鑽を積んできて本当に良かったと心から思います。
3. 恐怖を和らげるNLPの技術とは?
NLPには、恐怖症の改善に効果的ないくつかのテクニックがあります。
中でも有名なのが、「映画法(逆回し法)」と呼ばれる手法です。「VKデソシエーション」とも呼ばれます。
これは、怖さの元となっているシーンをイメージとして再体験した後、それを映像のように逆再生することで、感情と記憶のつながりを緩めていく方法です。
この手法はとても繊細なので、必ず専門のトレーナーの指導のもとで行うことが大切です。
この「映画法」には、これまでNLPのさまざまな技術──
ラポール、キャリブレーション、イメージコントロール、リフレーミング、言語の使い方など、すべての要素が組み込まれています。
だからこそ、恐怖を乗り越える支援は、NLPを学ぶ者にとって大きな喜びであり、同時に深い責任も感じるものです。
「イメージを変えれば、人生も変わる」
その実感とともに、「イメージは自分の中でつくるものだから、自分で変えられるんだ」と気づいていただけたとき、
私はこの仕事の本質に立ち返る気持ちになります。
<今日のひとこと>
トラウマや恐怖症状に対応する、NLPの技法があります。
トラウマや恐怖症状のセッションにあたっては、医療機関の許可が必要です。適切な技法と信頼関係が大切です。
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